昭和から平成のテレビ黄金期を象徴するフレーズ「芸能人は歯が命」の元ネタは、1995年に株式会社サンギが放映した美白歯磨き粉「アパガード」のテレビCMです。当時トレンディドラマで飛ぶ鳥を落とす勢いだった俳優の東幹久さんと、洗練された大人の魅力で人気を博していた高樹沙耶(現・益戸育江)さんが出演。「芸能人は、歯が命」というシンプルかつ強烈なキャッチコピーとともに、眩しい白い歯を見せつけるコミカルで洗練された演出は、瞬く間に全国のお茶の間を席巻しました。
このCMが放映される以前、日本のオーラルケア市場における歯磨き粉の相場は1本200円〜300円台が主流でした。そこへサンギが独自開発の「薬用ハイドロキシアパタイト」を配合し、1本数千円という高価格帯で投入したアパガードは、常識破りの高級品でした。しかしCMの爆発的なヒットによってドラッグストアやデパートで品切れが相次ぎ、年間出荷数が発売初年度の数十万本から一気に1,000万本規模へと跳ね上がる社会現象を記録。同年の「新語・流行語大賞」では大衆賞を受賞し、サンギの歯磨き粉評判を不動のものとしました。
当時の報道各社や広告関係者の記録を振り返ると、このCMは単なる商品の宣伝にとどまらず、日本人の「歯の美意識」を根本から書き換えた転換点であったことがわかります。それまで「虫歯を防ぐ」ための日用品だった歯磨き粉が、「白く健康的な歯を手に入れて自己投資する」ための美容アイテムへと昇華した瞬間でした。東幹久さんが見せた極上のスマイルは、まさにその象徴として現在も語り継がれています。