缶詰を開けた際、身だけを取り出して汁をシンクに流してしまう方が少なくありません。しかし、あさり水煮缶の汁ごと使う理由は、調理の科学的な視点からも明確に裏付けられています。
あさりの際立つ旨味の正体は「コハク酸」と呼ばれる有機酸です。貝類特有の奥深いコクを生み出すコハク酸は水溶性のため、缶詰の加工段階で加熱される際、その大半が煮汁へと溶け出しています。つまり、身だけを使って汁を捨ててしまうと、旨味成分の大部分を捨てていることと同義です。
さらに注目すべきはあさり水煮缶の栄養効果です。あさりには、貧血予防に欠かせない鉄分やビタミンB12、肝機能をサポートし疲労回復を助けるタウリン、骨や歯を形成するカルシウム・マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。これらの栄養素の多くは水に溶け出しやすいため、スープや煮込み料理、炊き込みご飯の水加減として汁ごと余すところなく摂取するのがもっとも効率的です。
また、貝類は高たんぱく・極めて低脂質であるため、あさり水煮缶はダイエットやヘルシー志向の食卓にも最適な食材といえます。手軽にミネラル補給ができ、満足感の高い一皿が完成します。