家族を守るという信念は、世田谷区などに構える藤岡弘、の自宅の設計思想にも色濃く反映されています。メディアで度々紹介されるその邸宅は、ファンの間から親しみを込めて「サバイバル要塞」と呼ばれています。
自宅内部には、本格的な日本刀や甲冑が並ぶ武道場が備えられているだけでなく、地下には巨大な食料備蓄庫が設置されています。数ヶ月間は外部からの補給なしで生活できるフリーズドライ食品や缶詰、浄水器、医療キット、さらには薪ストーブや自家発電装置に至るまで、徹底的な防災対策が施されています。これはかつてテレビ朝日系『藤岡弘、探検隊シリーズ』で世界各地のジャングルや過酷な秘境に分け入り、リアルな生命の危機を何度も乗り越えてきた経験から導き出された実践的危機管理です。
「自然災害や社会の激変が起きた時、最後に家族の命を守るのは父親の準備と覚悟である」という彼の哲学は、東日本大震災をはじめとする近年の自然災害の多発によって、奇異なこだわりではなく極めて先見の明に満ちた行動であったと再評価されています。
また、藤岡弘、の日常を象徴するのが、独自のこだわりを極めた「藤岡、珈琲」です。世界中から厳選した有機栽培の豆を使い、ペーパードリップで淹れるその作法は、もはや茶道や武道の領域に達しています。
注湯の際、藤岡は背筋を正し、ポットを握る手に全神経を集中させながら、「ありがとう、美味しくなれ、ありがとう……」と一滴一滴に祈りを込めて湯を落としていきます。この淹れ方はバラエティ番組等でコミカルにいじられることもありますが、本質は感謝の念を物質に込める精神統一の儀式です。「いただく命、自然の恵み、出会った人への感謝を忘れない」。一杯の珈琲に注がれるその真剣な眼差しにこそ、藤岡弘、という人間の求道者たる生き様が集約されています。