今さら聞けない憲法の基本原理とは?3大原則の真相をわかりやすく徹底解説

今さら聞けない憲法の基本原理とは?3大原則の真相をわかりやすく徹底解説

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憲法論議において最も頻繁に発生する混乱が、「立憲主義」と「民主主義」の混同です。両者は手を取り合うパートナーであると同時に、本質的に緊張関係を孕んでいます。

「民主主義」の根幹は多数決原理です。国民の多数派が選んだ代表者が法律や政策を決定します。しかし、多数派の判断が常に正しいとは限りません。時に熱狂した多数派が、特定の少数民族やマイノリティの自由を奪う「多数者の専制」に陥るリスクを歴史は証明しています。そこで不可欠となるのが「立憲主義」です。たとえ国民の99%が賛成したとしても、侵してはならない個人の基本的人権の領域を憲法によってあらかじめ不可侵のものとして設定し、多数決の暴走に歯止めをかけます。

もうひとつの巨大な誤解が、人権の限界を定める「公共の福祉」の解釈です。ネット上では「公共の福祉に反するから国民の自由を制限して当然だ」という国家優先の論理が語られがちですが、憲法学および公共の福祉に関する判例の積み重ねは全く異なる見解を示しています。

最高裁判所は、精神的自由(表現の自由や信教の自由など)を制限する場合と、経済的自由(職業選択の自由や財産権など)を制限する場合とで審査基準を変える「二重の基準論(double standard)」を採用しています。薬事法距離制限違憲判決(昭和50年)や森林法違憲判決(昭和62年)に見られるように、精神的自由は民主主義プロセスの根底をなすため極めて厳格に保護され、単なる「行政の都合」や「漠然とした公序良俗」を理由とする人権制限は違憲と判断されます。「公共の福祉」とは、国家の利益ではなく、「人権と人権が衝突した際の公平な調整原理」に他なりません。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。