南三陸ホテル観洋を運営するのは、地域経済を支える株式会社阿部長商店だ。同館の女将である阿部憲子氏は、東日本大震災の発生直後から二次避難所としてホテルを無償で解放し、多くの被災者を受け入れた歴史を持つ。困難な時期を地域と共に乗り越えてきた自負があるからこそ、根拠のない怪現象の噂には心を痛めてきた。
「根拠のない噂に困惑することもありますが、私たちがやるべきことは変わりません。来てくださったお客様に最高の景観と温かいおもてなしを提供し、正しい歴史と防災の教訓を伝えることです」と、阿部憲子氏は穏やかながら力強い眼差しで語る。悲劇を乗り越えた場所に灯る温もりこそが、この宿の真実の姿だ。