試合が進むにつれ、聖地・甲子園はこれまでにない殺伐とした異様な空気に呑み込まれていきました。第4打席で敬遠四球が宣告されたあたりからスタンド各所から激しい野次が飛び交い、迎えた第5打席では球場全体から地鳴りのような「帰れ!帰れ!」の大合唱が巻き起こりました。
試合は3対2で明徳義塾が逃げ切り勝利を収めましたが、試合終了を告げるサイレンが鳴っても観客の怒りは収まりませんでした。勝利校である明徳義塾の校歌が場内スピーカーから流れる最中も、スタンドからは容赦のない「帰れコール」と激しいブーイングが浴びせられ、歌声が完全にかき消される異常事態となったのです。
整列を終えた明徳義塾ナインがベンチ裏へ引き揚げる際には、三塁側アルプススタンドやネット裏から無数のメガホン、空き缶、ゴミがグラウンド内へ次々と投げ込まれました。高校生が全力をぶつけ合う清廉な舞台とされてきた甲子園において、勝者がこれほどまでに観客から罵倒され、物理的な危険に晒された事例は過去に類を見ません。