一口に「へそピアス跡」と言っても、皮膚の損傷度合いや生体反応によって現れる症状は全く異なります。適切な対処法を選ぶためには、自らの傷跡がどの病態に該当するのかを正確に見極める必要があります。
最も軽度なケースが「へそピ跡色素沈着」です。ピアスの金属刺激や衣類の摩擦によってメラノサイトが活性化し、ホール周辺が茶褐色や黒色に変色した状態を指します。皮膚の表面は比較的平らですが、おへその影と相まって清潔感を損なう要因となります。
次に多く見られるのが「へそピ跡しこり」です。触ると皮下にコリコリとした米粒大から小豆大の硬結を触れます。これは創傷治癒の過程で線維組織が異常増殖した「肥厚性瘢痕」や、ホールの一部が袋状に閉じ込められて角質が溜まる「粉瘤(アテローム)」の可能性が考えられます。これがさらに悪化し、本来のピアスの傷跡の範囲を超えて赤くミミズ腫れのように隆起し、激しい痒みや痛みを伴う場合は「へそピケロイド治療」が必要な真性ケロイドの疑いが生じます。特に胸部から腹部にかけてはケロイド好発部位であり、体質的な素因が強く関与します。
そして最も外見的な変形が大きいのが「へそピ排除痕」です。体が異物であるピアスを体外へ押し出そうとする拒絶反応(排除作用)により、ピアスを支える皮膚が徐々に薄くなり、最終的に皮膚を突き破って千切れてしまった痕跡です。縦に引き裂かれたような窪みや、鳥の足跡のような不規則な陥没変形として残り、自然軽快することは医学的に不可能です。