同じ「南無阿弥陀仏」を唱える宗派であっても、法然が開いた浄土宗と、親鸞の流れを汲む浄土真宗では、念仏の位置づけや唱え方に決定的な違いがあります。
1. 浄土宗における念仏:往生するための「行(実践)」
浄土宗では、南無阿弥陀仏を何度も繰り返し称えること(多念)を重視します。生きている間、声に出して念仏を唱え続けることによって阿弥陀仏との結びつきを強め、臨終の際に極楽浄土へ迎えられる(来迎)と説きます。
- 唱え方: 「なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶつ」とテンポよく連続して唱えることが多い。
- 回数: 日課念仏として回数を数えるための「二連の数珠(日課数珠)」を用い、朝夕などに決まった回数を称えることが推奨される。
2. 浄土真宗における念仏:救われた喜びの「報恩感謝」
一方の浄土真宗では、「南無阿弥陀仏」を唱える行為は極楽へ行くための手段や条件ではありません。「阿弥陀仏を信じ、お任せした瞬間(信心決定)に、すでに救われることが確定している(往生一定・現生正定聚)」と考えます。
したがって、浄土真宗における念仏は「救ってください」という懇願ではなく、「すでに救ってくださっていることへのありがとうの言葉(報恩謝徳の念仏)」です。
- 唱え方: 「なまんだぶ、なまんだぶ」あるいは「なんあみだぶつ」と、自然に湧き上がる感謝として発音される。
- 回数・作法: 回数を競ったり数えたりすることはせず、数珠を繰ることもありません。日常のあらゆる瞬間に、感謝の気持ちとして口からこぼれ出る念仏を大切にします。