本格的な演技復帰となった映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』における彼女の存在感は、製作を手掛けた松竹のファンにとっても胸を打つものだった。かつて「及川泉」役として寅さんシリーズに出演していた彼女が、20数年の時を経て同じ役柄としてスクリーンに戻ってきた瞬間、映画館には確かな感動が広がった。
山田洋次監督からの熱烈なオファーに応え、ブランクを全く感じさせない瑞々しい演技を披露したことで、日本映画界における彼女の再評価は決定的なものとなった。これを機に、単発のスペシャルテレビドラマや大型企画への出演依頼が相次ぎ、女優・後藤久美子の新たな章が幕を開けたのである。