「無塩せき」という表記を見た消費者の約3割が「塩分控えめ、もしくは食塩不使用のソーセージ」と誤解している実態が、消費者庁の食品表示意識調査やスーパー店頭の聞き取りでも浮き彫りになっています。しかし、この解釈は根本から間違っています。
食肉加工の専門用語である「塩せき(えんせき)」とは、原料肉に食塩、香辛料とともに、亜硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなどの「発色剤」を加えて漬け込む工程を指します。肉のヘモグロビンやミオグロビンと亜硝酸根が結合することで、加熱後も鮮やかな赤〜ピンク色を保ち、特有の熟成フレーバー(塩せき香)が醸成されます。
一方の「無塩せき」とは、この漬け込み工程において発色剤を一切使用せずに作られたものを指します。つまり「塩を使わない」のではなく、「(発色剤を用いた)塩せき工程を行っていない」という意味です。一般的な無塩せきウインナーの食塩相当量は、100gあたり約1.7g〜2.0g含まれており、通常のソーセージとほぼ同等の塩分濃度を持ちます。「高血圧予防のために塩分ゼロを求めて無塩せきを選ぶ」のは明確な誤認です。