日本国内で天の川を明瞭に観測・撮影できる期間は、一般的に3月上旬から10月下旬にかけての約8カ月間です。地球の公転に伴い、夜空に見える銀河中心部(いて座・さそり座方向の最も濃い部分)の位置と昇る時間は季節ごとに大きくダイナミックに変化します。
春先にあたる3月から4月は、深夜から未明(午前2時〜4時頃)にかけて南東の地平線から天の川が横倒しの状態で昇り始めます。この時期は空気の透明度が高く、クリアな観測が期待できるものの、観測時間帯が未明に限定されるため、本格的な天文ファンや写真愛好家が主に対象とする季節です。
一般の旅行者やファミリー層にとって最大のチャンスとなるのが、初夏から夏本番(6月〜8月)です。梅雨明け以降の7月から8月にかけては、日没後の21時から深夜24時前後に天の川の最も濃いコア部分が南の空高く直立するように昇り、観測のピーク時間を迎えます。宵の口から真夜中という行動しやすい時間帯に天頂付近へとアーチを描くため、星空ツアーやアウトドア観測のハイシーズンとして賑わいを見せました。
秋口の9月から10月に入ると、日没直後の20時頃から南西から西の空にかけて天の川が垂直に立ち昇る姿が見られます。ピーク時間は日没後すぐへと前倒しになり、深夜には地平線へと沈んでいくため、早い時間帯での短期集中型の観測が鉄則となります。
夏の大三角と天の川の探し方
夜空を見上げて天の川の正確な位置を特定する際、最も信頼できる道標となるのが「夏の大三角」です。東から天頂の空を見渡し、ひときわ明るく輝く3つの1等星を探します。
最も明るいこと座のベガ(織姫星)、南寄りに位置するわし座のアルタイル(彦星)、そして北東寄りに位置するはくちょう座のデネブを結んでできる巨大な三角形の内側を貫くように、天の川の淡い光の帯が北から南へと流れています。デネブ付近の十字の星並び(北十字)からアルタイルとベガの間を通り抜け、南の地平線近くにあるさそり座のアンタレス方向へと視線を下ろしていくことで、初心者でも迷うことなく天の川の全貌を捕捉できます。