羊を自在にコントロールする犬には、他の犬種には見られない特別な身体能力と習性が備わっています。その代表例が、強い視線で獲物を威圧する「アイコントロール(Eye Control)」と呼ばれる技術です。
ボーダーコリーなどの卓越した牧羊犬は、姿勢を極限まで低く保ちながら羊の目を見据え、じわじわと間合いを詰めます。この鋭い眼光と緊張感あふれる体勢(クラウチング姿勢)に圧倒された羊は、犬を捕食者として恐れ、睨まれた方向とは逆の方向へと自然に逃げ出します。牧羊犬はこの「羊の逃避心理」を巧みに利用し、まるで不可視の壁を作るように群れの進行方向をコントロールしているのです。
さらに、羊をまとめる犬には以下のような卓越した資質が共通して見られます。
・並外れたスタミナ:1日に数十キロメートル以上をトップスピードで走り抜く持久力。
・瞬間的な判断力:群れ全体のバランスを瞬時に把握し、勝手に離脱する羊を予測して先回りする空間認知能力。
・抜群の集中力と指示応答性:遠く離れたハンドラーのわずかなホイッスルの音色や手の合図を瞬時に聞き分ける知性。