数年間から時には十数年もの間、冷たく暗い地中で耐え忍び、わずか数週間の成虫期を迎えるセミの生態は、未だ多くの神秘に包まれている。日本昆虫学会の専門家は、幼虫が地上に出るタイミングや登る木を選び取るメカニズムについて、地温の変化や樹木が発する微少な振動の感知が関与している可能性を指摘する。
羽化直後の薄緑色の身体がゆっくりと固まり、深い色へと変化していくプロセスは、緻密に制御された生物学的プログラムだ。羽化の途中で落下し命を落とす個体も少なくない中、幹に残されたカラは無事に大空へ飛び立つことができた「生き残りの証」にほかならない。