歴史的なウォン安が進行している背景には、単なる投機的な動きにとどまらない根深い経済構造の歪みが存在します。主たる要因は以下の3点に集約されます。
第一に、米韓の金利差の長期化です。米国連邦準備制度理事会(FRB)が高水準の政策金利を維持する一方、韓国国内では家計債務問題や不動産市場の低迷が重石となり、韓国銀行は政策金利を積極的に引き上げられないジレンマに陥っています。この金利差によって、資本がウォンからより利回りの高いドルへと流出し続けています。
第二に、半導体・輸出構造の変容と中国経済の減速です。韓国経済の牽引役である半導体産業において、先端AI半導体の需要は堅調なものの、汎用メモリや中間財の対中輸出は停滞しています。貿易黒字の稼ぎ頭だった部門の回復が遅れていることが、実需面でのウォン買い圧力を弱めています。
第三に、地政学的リスクに伴う有事のドル買いです。朝鮮半島情勢や台湾海峡を巡る緊張感は、新興国通貨としての側面を持つ韓国ウォンにとって強い売り圧力となり、基軸通貨である米ドルへの資金シフトを加速させています。