ハンセンの足跡を語る上で欠かせないのが、当時のプロレス興行界全体を震撼させた引き抜き・移籍劇だ。新日本プロレスの看板外国人レスラーであった彼が、突然全日本プロレスのリングに姿を現した事件は、昭和のプロレスファンに最大のサプライズをもたらした。この電撃移籍は、単なる引き抜き合戦にとどまらず、団体間の対立構造や興行ビジネスの仕組みそのものを大きく変貌させる契機となった。
さらに、米国のWWE殿堂入りを果たしたことでも証明されている通り、彼の功績は国境を完全に越えていた。アメリカでの過酷なテリトリー制を生き抜き、日本のメジャー2大団体で頂点に君臨し続けたレスラーは、プロレス史全体を見渡しても極めて稀有な存在だ。彼のビジネスに対するプロフェッショナルな姿勢は、現代のレスラーたちにとっても大きな指針となっている。