開店前の午前11時過ぎ、北習志野大勝軒の店前には決まって長蛇の列が形成されます。平日でも15〜20人、週末ともなれば30人以上の並びが発生し、待ち時間は平均して40分から1時間超に達することも珍しくありません。なぜこれほどまでに人々は並び、この一杯を求めるのでしょうか。
その最大の理由は、東池袋系(山岸一雄氏の流れを汲む甘酸っぱいつけ麺スタイル)とはルーツを異にする「永福町系大勝軒」の確固たるDNAにあります。創業者・草村昭二氏が築き上げた永福町本店の哲学を受け継ぎ、厳選されたカタクチイワシやウルメイワシなどの煮干しを贅沢に使った清湯スープは、雑味やエグみを丁寧に取り除きつつも、一口含むと力強い魚介の旨味が脳天を直撃します。
さらに特筆すべきは、スープの表面を隙間なく覆う最高級カメリアラードの油膜です。この分厚いラードの層がフタの役割を果たすため、丼から湯気が立ち上ることはほとんどありません。しかし、レンゲを差し込んでスープをすすると、舌を火傷しそうなほどの超高温が維持されています。「最後まで冷めない熱々のスープ」「草村商店特注の中細縮れ麺のモチモチとした食感」「ほのかに香る柚子皮の清涼感」という三位一体の計算し尽くされた構成が、唯一無二の中毒性を生み出しているのです。