ネット上の簡易解説記事には、科学的事実と乖離した思い込みが散見されます。代表的な誤解を是正し、隠された盲点を整理します。
一つ目の盲点は「冷蔵庫での渋抜きは失敗する」という事実です。「痛まないように冷蔵室に入れて密閉した」という初心者が散見されますが、10度以下の低温下では柿の呼吸が著しく抑制され、酵素反応が停止します。結果として2週間経っても渋みは一切抜けません。渋抜き中は必ず15度から20度前後の直射日光が当たらない涼しい場所(玄関土間や暖房の入らない北側の部屋など)で保管し、完全に渋が抜けて好みの硬さになった段階で初めて冷蔵庫へ移して追熟を止めるのが正しい順序です。
二つ目の誤解は「長期間放置すればするほど甘くなる」という迷信です。密閉日数が2週間を超えると、袋内の酸素が枯渇し果肉が嫌気呼吸を起こします。これにより果肉が水っぽく変色し、アルコール臭や異臭を帯びた「アルコール障害」が発生します。適期を見極めるためには、規定の日数(35度なら7日目、25度なら10日目)に一度袋を開け、果実のヘタ側ではなく先端側の果肉を爪楊枝などでごく少量すくい取って味見をすることが不可欠です。