ふみふみこの作品に潜む宗教の真相『愛と呪い』が暴く家族の裏側

ふみふみこの作品に潜む宗教の真相『愛と呪い』が暴く家族の裏側

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作品の扉を開くと、そこに広がるのは1980年代から90年代の日本の地方都市の風景だ。どこにでもあるような郊外の住宅地。しかし、主人公・内海愛子が育つ家庭の内側は、異様な歪みに満ちていた。新興宗教の熱心な信者である母親と、家庭内で絶対的な権力を握り虐待を繰り返す父親。この「神」と「絶対的家長」が同居する空間こそが、愛子にとっての世界のすべてだった。

作中で描かれる宗教の真相は、決して抽象的な概念にとどまらない。お布施のための経済的困窮、教団の教えを盾にした行動制限、そして何より「信心が足りないから不幸が起きる」という精神的脅迫。少女時代の愛子が直面したのは、信仰という名のもとに個人の尊厳が奪われていく日常だった。ふみふみこが描くのは、教団そのものの怪しさ以上に、信仰によって思考を停止した親が子に与える「静かな暴力」の恐怖である。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。