小さなプラスチック容器の蓋を開けた瞬間、誰もが小さな決断を迫られる。「いかにしてきな粉をこぼさず、蜜を均等に行き渡らせるか」という命題だ。
正統派とされるのは、中央の餅をひとつ持ち上げてスペースを作り、そこへ黒蜜を注ぎ込む手法。だが、近年すっかり市民権を得たのが「風呂敷包み活用法」だ。敷かれていたビニール風呂敷の上に餅ときな粉をすべてあけ、その上から黒蜜を豪快に回しかけ、四隅をつまんで揉み込むように混ぜ合わせる。見た目の豪快さとは裏腹に、蜜ときな粉が求肥に完璧に絡み合い、最後の一粒まで無駄なく味わえる合理的な食べ方として熱狂的な支持を集めている。