英語学習者が最も足を取られやすい落とし穴、それが「used to」「be used to」「get used to」の三つ巴だ。学校の英文法では似たような構文として一括りに整理されがちだが、ネイティブの脳内では全く異なる景色が広がっている。この差異を感覚レベルで腑に落ちるまで掴むことこそが、英会話の壁を突き破る唯一の鍵となる。
まず「used to+動詞の原形」は、過去の習慣や状態を指し、暗に「今はもうそうではない」という断絶を意味する。「かつては〜だった」という静止した過去の残影だ。一方で「be used to+名詞/動名詞」は、すでに何かが当たり前になり、違和感が完全に消え去った「状態」を表す。そこには何の負荷も存在しない。
対して「get used to+名詞/動名詞」が描くのは、未知の状況や違和感に対して心や身体を徐々に順応させていく「動的な移行プロセス」そのものである。「get」という動詞が本来持つ「ある状態へと変化する」エネルギーが、ここに強烈に働いているのだ。まだ慣れてはいない。心地よくもない。それでも少しずつ適応しようと努力している最中——その進行形の心理状態を言い当てる言葉が、get used toなのである。