白浜温泉街の中心に位置する白良浜が「広大な遠浅の白砂青松」「リゾート感あふれる開放的なビーチ」であるのに対し、臨海浦海水浴場はまったく異なる自然の表情を持っています。国土交通省近畿地方整備局が公開する紀南の海岸データや現地の海洋調査によれば、臨海浦は南方熊楠記念館や京都大学白浜水族館が位置する「番所崎」の北側に位置する入り江です。北西からの強い外洋波が岬によって遮られる天然のシェルター構造を成しており、外海が荒れている日であっても比較的穏やかな水面が保たれます。
この地理的特徴こそが、白良浜との違いと評判を決定づけている最大の要因です。白良浜は底質がほぼ均一な硅砂で覆われているため、泳ぐスペースとしての快適性は極めて高いものの、魚の隠れ家となる海藻や岩礁が存在せず、観察できる水生生物の種類は限られます。一方、臨海浦海水浴場は砂浜の左右にゴツゴツとした岩場が連なり、黒潮が運ぶ豊かな暖流の恩恵を受けたソラスズメダイ、チョウチョウウオ、カクレクマノミの仲間、ウツボやタコといった多種多様な海洋生物の生息拠点となっています。
現地を訪れたダイバーやシュノーケラーの手記にも「波打ち際からわずか3メートル泳ぎ出しただけで、視界一面が青い熱帯魚で埋め尽くされる」という感動の証言が数多く残されています。和歌山白浜穴場ビーチの真相とは、単に人が少ない隠れ家という意味にとどまらず、手つかずの自然海岸が保持する「圧倒的な生物多様性」にこそあるのです。