西都原古墳群の広大な敷地内には、日本の古代土木技術の精緻さを肌で体感できる重要スポットが凝縮されています。短時間でも必ず押さえておきたい主要遺構をご紹介します。
まず外せないのが、6世紀末から7世紀初頭に築かれたとされる「鬼の窟(おにのいわや)古墳(206号墳)」です。全国的にも珍しい外堤に二重の周溝を持つ円墳で、何よりの魅力は横穴式石室の内部に入って見学できる点にあります。巨石を緻密に組み上げた玄室の中に入ると、ひんやりとした静寂が漂い、1400年前の石工たちの息遣いが伝わってくるかのような圧倒的な臨場感に包まれます。
続いて足を運ぶべきは、南九州最大の規模を誇る双子のような巨陵、「男狭穂塚(全長176m)」と「女狭穂塚(全長175m)」です。男狭穂塚は帆立貝形古墳としては全国第1位、女狭穂塚は九州最大の前方後円墳であり、5世紀前半のヤマト政権の大仙陵古墳(仁徳天皇陵)などと相似形をなしています。宮内庁管理下の陵墓参考地のため墳丘内への立ち入りは制限されていますが、周囲の濠越しに眺めるだけで、周囲の円墳とは一線を画す威圧感を実感できます。
さらに、100号墳をはじめとする各墳丘の復元整備も見事であり、葺石(ふきいし)に覆われた築造当時の姿を再現したモデルなど、教科書の写真を見るだけでは得られない立体的なスケール感を体感できます。