SNSや医療相談掲示板では、「プールに行ってから3日経つのに耳の中でガサガサ音がする」「水がずっと詰まっている感じがして聞こえが悪い」といった悩みが頻繁に投稿されています。しかし、耳鼻咽喉科の臨床現場において、数日間も純粋な水分だけが外耳道内に滞留し続けることは物理的にほぼありません。
この現象の正体の多くは、乾燥して蓄積していた耳垢(耳あか)が水分を吸収して膨張した「耳垢塞栓(じこうそくせん)」です。
耳垢はスポンジのように水分を吸うと数倍に膨らむ性質があります。普段は隙間があって音が聞こえていたものが、水を含んで膨張することで外耳道を完全に密閉・遮断してしまいます。こうなると、本人は「水が溜まっている」と感じていても、実際にはふやけた耳垢の塊が鼓膜の手前にフタをしている状態になり、自力での水抜きテクニックは一切通用しなくなります。