コスモス寺の深層へ 奈良・般若寺の秘仏開帳と石塔の謎に迫る

コスモス寺の深層へ 奈良・般若寺の秘仏開帳と石塔の謎に迫る

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境内の中央で圧倒的な存在感を放つのが、高さ約14.2メートルを誇る十三重石宝塔だ。鎌倉時代、叡尊の呼びかけに応じた宋人の石工・伊行吉らによって建立されたとされ、力強く端正な佇まいは日本の中世石造美術を代表する傑作として名高い。

この塔の内部には、長らく神秘のベールに包まれていた秘密が存在した。過去に実施された国宝・重要文化財修理保存事業に伴う学術調査の際、塔の初層内部から極小の金銅仏や金銅舎利容器、多数の経巻が発見されたのだ。文化庁の厳格な指導のもとで進められた解体修理は、外観の堅固さのみならず、内部空間にまで綿密に構築された宗教的世界観を白日の下に晒した。風雨に耐え抜いた石肌の細部を眺めると、中世の工人たちが込めた卓越した技術と執念が直に伝わってくる。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。