問題は人間の争いだけにとどまらない。地球規模の海洋異変もまた、この海に致命的な打撃を与えている。海洋気象データの解析によると、近年の日本海における海水温の上昇スピードは世界平均の数倍に達しており、魚類の回遊ルートが大きく歪んでしまった。
東シナ海で孵化したスルメイカの幼体は、例年であれば対馬暖流に乗って北上し、豊かな餌場であるこの浅瀬を目指す。しかし、海表面温度の過度な上昇と潮流の変化により、群れが途中で分散するか、より冷たい北方のロシア沖へと流れてしまう現象が頻発している。生態系の変化は、従来の漁獲予測を完全に無効化してしまった。