「顔にほくろが増えてきた」と感じた際、単なる美容上の問題として片付けるのは早計です。極めて稀ではあるものの、皮膚悪性腫瘍の代表格である悪性黒色腫(メラノーマ)や基底細胞がんなどの初期症状が、一見普通のほくろのように現れるケースがあるためです。
皮膚科の臨床現場では、悪性腫瘍の鑑別のために国際的に提唱されている「ABCDEルール」が指標として用いられています。鏡を見て以下の項目に該当する場合は、自己判断をせず速やかに皮膚科専門医のダーモスコピー(特殊な拡大鏡)検査を受診してください。
- A(Asymmetry:左右非対称性):中心から二つに分けたとき、形が左右非対称である。
- B(Border irregularity:境界の不明瞭さ):輪郭がギザギザしていたり、周囲の皮膚へ滲み出している。
- C(Color variegation:色調のムラ):均一な黒や茶色ではなく、濃淡が混ざり、赤や白、青みがかった部分がある。
- D(Diameter:直径の大きさ):短期間で急拡大し、長径が6ミリメートル以上ある。
- E(Evolving:性状の急激な変化):短期間で急激に盛り上がる、出血や潰瘍、痒みを伴う。
ネット通販やSNS上で散見される「ほくろ除去クリーム」「もぐさ(お灸)を使ったセルフ除去」「カッター等での自己切除」といった民間療法は、極めて危険な行為です。これらは皮膚組織に重度の化学熱傷や細菌感染を引き起こし、陥没瘢痕(クレーター状の深い傷跡)やケロイドを残すリスクが極めて高いため、絶対に手を出してはなりません。