土質力学における内部摩擦角(せん断抵抗角:Angle of internal friction)とは、土にせん断力が加わった際、土粒子同士が滑り合ったり噛み合ったりして生じる抵抗力を角度(度:°)で表したものです。記号はギリシャ文字の「$\phi$(ファイ)」で表記されます。
土のせん断強度($\tau$)は、フランスの物理学者シャルル・ド・クーロンが提唱した「クーロンの破壊基準」によって次式のように定式化されています。
$$\tau = c + \sigma \tan\phi$$
ここで、$c$は土の粘着力($\text{kN/m}^2$)、$\sigma$はすべり面に作用する垂直応力(有効拘束圧、$\text{kN/m}^2$)です。この式が示す通り、土のせん断強度は「土粒子同士の引き合いによる粘着力($c$)」と、「上から押さえつける力に比例して増大する摩擦成分($\sigma \tan\phi$)」の合算で決まります。内部摩擦角$\phi$が大きい土ほど、上載荷重が増えるにつれて飛躍的にせん断強度が向上する特性を持ちます。
ここで実務者が頻繁に直面する疑問が、内部摩擦角と「安息角(Angle of repose)」の違いです。両者は混同されがちですが、力学的なメカニズムは根本から異なります。
砂をスコップで山状に盛ったときに自然とできる斜面の角度が「安息角」です。極めて緩い状態の乾燥砂においては、安息角と内部摩擦角が見かけ上近い値を取ることがありますが、締固められた地盤内部では粒子同士の噛み合わせ効果(ダイレイタンシー)が強く働くため、内部摩擦角は安息角よりも有意に大きな値を示します。構造物の設計に安息角を流用すると、地盤強度を過小あるいは誤って評価する原因となるため厳密な区別が必要です。