京都・大原を発祥とする本来の伝統的な「柴漬け(生しば漬け)」は、お酢を一切使わず、ナス、赤紫蘇、粗塩のみを用いて数週間から数ヶ月かけてじっくりと自然発酵させます。野菜に付着している植物性乳酸菌の力だけで独特の深い酸味と旨味を醸成させる手法です。
本格仕込みに挑戦する場合の塩分濃度は、雑菌の繁殖を抑えて乳酸菌を優位に働かせるため、野菜総重量の4.0〜5.0%とやや高めに設定します。
伝統製法の手順は次の通りです。
- ナスを縦半分に割り、さらに長さを半分にして厚めにカットします。
- アク抜きしたたっぷりの赤紫蘇とナスを、塩を挟みながら交互に漬物容器(または厚手の密閉袋)へ段々に敷き詰めます。
- 野菜の重量の1.5〜2倍の重石をかけ、直射日光の当たらない冷暗所(15〜20℃前後)に置きます。
- 数日で赤紫色の漬け汁(紫蘇水)が野菜の上まで上がってきます。この状態を保ちながら約2〜3週間熟成させます。
乳酸発酵が進むと、ツンとした刺激のない、まろやかで奥深い酸味と芳醇な発酵香が立ち上ります。保存食として受け継がれてきた知恵が凝縮された、本物ならではの滋味深い味わいです。