長野県山ノ内町、石畳の小路に下駄の音が響く千と千尋の神隠しの舞台温泉街として名高い渋温泉。その中央にそびえ立つ歴史の宿 金具屋(かなぐや)は、油屋の持つ重厚な威容と華麗な木造美を完璧に体現しています。
昭和初期に宮大工の手によって建てられた木造四階建ての「斉月楼(さいげつろう)」と大広間は、国の登録有形文化財。釘を使わない伝統技法や、各階ごとに異なる意匠を凝らした窓枠の細工は圧巻の一言です。日暮れとともに斉月楼全体が温かいライトアップで照らされると、川の向こうから神々が船に乗ってやってくるかのような幻想的な夜景が広がります。
館内には29か所もの源泉を活かした趣の異なる貸切風呂や大浴場が点在し、まさに「神々の温泉街」を思わせる湯巡りを堪能できます。外観のフォルムや屋根の重なり、館内を巡る迷宮のような階段構造は、油屋内部の複雑怪奇な空間設計を強く連想させます。