数ある名作群のなかで、「日曜劇場の歴代最高傑作」として視聴者の支持を二分するのが『半沢直樹』と、2023年に世界的大ヒットを記録した『VIVANT』です。
『半沢直樹』が成し遂げた最大の功績は、それまで若年層中心だったドラマファンの裾野を中高年の男性ビジネスパーソンへ一気に押し広げた点にあります。堺雅人演じる主人公・半沢直樹が、理不尽な上司や組織の不正に対して一切怯まずに立ち向かう痛快な勧善懲悪劇は、視聴者の日頃の鬱憤を吹き飛ばすカタルシスを生み出しました。香川照之、片岡愛之助、市川猿之助ら歌舞伎俳優陣による顔芸にも似た濃密な演技合戦は、日曜劇場ならではの様式美を完成させました。
一方、従来のドラマ制作の常識を根底から覆したのが、モンゴルでの長期ロケを敢行した超大作『VIVANT』です。自衛隊の影の諜報組織「別班」と謎のテロ組織「テント」の対立を描いた重厚なサスペンスは、放送前からキャストやあらすじを極秘にする異例のプロモーションを展開しました。放送開始直後からSNS上では『VIVANT』の伏線考察が加熱し、細かな小道具の配置や登場人物の視線の動きに至るまで、視聴者が探偵のように推理を楽しむ新たな視聴体験を創出しました。