新玉ねぎの辛味抜きで水はNg?栄養を守り一瞬で甘くする新常識

新玉ねぎの辛味抜きで水はNg?栄養を守り一瞬で甘くする新常識

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昔ながらの料理本や家庭料理の基本として定着してきた「玉ねぎのスライスは冷水にさらす」という手法。なぜこれが、現代のフードサイエンスにおいて「悪手」と断言されるのか。その真相は、玉ねぎ特有のツンとした刺激臭と辛味を生み出す主成分硫化アリルの化学的性質にある。

丸ごとの玉ねぎの内部では、辛味の元となるアミノ酸の一種「含硫アミノ酸(イソアリインなど)」と、それを分解する酵素「アリナーゼ」が細胞内で別々に隔離されている。ところが、包丁で刃を入れると細胞壁が破壊され、両者が接触・化学反応を起こして揮発性の催涙・辛味成分へと変化する。これが空気中や体内でさらに変化したものが、強力な抗酸化作用や血栓予防、ビタミンB1の吸収促進効果を持つアリシンである。

問題は、このアリシンおよびその前駆体である硫化アリルが極めて水に溶け出しやすい水溶性成分である点だ。公的機関や家政学系大学の研究データによると、スライスした玉ねぎを冷水に10分間さらした場合、有効な水溶性成分のおよそ50〜70%が水中へ溶出してしまうことが確認されている。さらに、水溶性ビタミンであるビタミンB群やビタミンC、カリウムなどのミネラルも同様にダダ漏れ状態となる。

加えて、水に浸すことで玉ねぎの細胞組織が過剰に水分を吸い上げ、新玉ねぎ本来の「パリッ」「シャキッ」とした心地よいテクスチャーが損なわれ、水っぽく締まりのない味に仕上がってしまう。健康のために生野菜サラダを食べているつもりが、実質的には栄養の抜け殻と化した繊維と水分を摂取しているに過ぎないという皮肉な事態に陥るのだ。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。