不眠治療の臨床現場で世界的な標準とされるのが、薬物に頼らないCBT-I(不眠症認知行動療法)だ。眠れない夜に「早く寝なければ明日が壊れる」という破局的思考に陥る悪循環を、認知行動療法のフレームワークによって解体していく。
その中でも、思考の暴走を数分で遮断する具体策として注目されているのが「認知シャッフル睡眠法」である。例えば「ねこ」という単語を思い浮かべたら、「ね=ネクタイ、こ=コイン」のように、ランダムで脈絡のない映像を頭の中で次々と想起していく。ランダムな情報の羅列は、脳の論理的思考回路を意図的に混線させ、「現在は安全であり、思考を維持する必要がない」というシグナルを脳に誤認させる。結果として、過剰な警戒モードが解かれ、自然な入眠へと導かれる。