現在、シルバーアクセサリー界の最高峰として君臨するクロムハーツ(Chrome Hearts)を取り巻く状況は、もはや従来のファッションアイテムの枠組みを完全に逸脱しています。直営店舗での価格改定が幾度となく繰り返された結果、定番の「キーパーリング」や「ダガーリング」の店頭価格は2020年当時の水準から2倍から2.5倍以上へと高騰しました。かつては10万円台前半で購入可能だったモデルが、今や30万円台に迫る勢いです。
大手ブランド買取専門店のリユースチーフバイヤーは、現場の生々しい実態を次のように証言します。「国内直営店の在庫が極端に薄く、入荷しても即座に完売する状態が長期化しています。そのため、状態の良いインボイス(購入証明書)付きの個体であれば、中古市場の買取価格が当時の定価を上回るケースが日常化しました。シルバーを貴金属としてではなく、美術工芸品およびオルタナティブ資産として買い集める海外バイヤーの存在が、相場を力強く押し上げています」。
しかし、この狂乱には大きなリスクも潜んでいます。ネットオークションやフリマアプリでは、スーパーコピーと呼ばれる精巧な偽造品が大量に流通しており、真贋判定の難易度は年々上がっています。真正性を証明するギャランティや正規インボイス原本が存在しない取引は、どれほど安価に見えても手を出してはなりません。資産価値を担保したいのであれば、正規代理店での粘り強い入荷待ちか、真贋保証制度を確立している大手老舗リユース店での購入が絶対条件です。