昭和末期から平成初期にかけて、相撲界は若花田・貴花田(後の若乃花・貴乃花)の台頭により空前の熱気に包まれました。その時代において、若貴兄弟の前に立ちはだかる「高き壁」として存在感を示したのが逆鉾と寺尾でした。
特に寺尾と貴花田の一戦は、平成相撲史に残る名勝負として知られています。1991年3月場所、当時新進気鋭のホープだった貴花田の強烈な突っ張りに真っ向から応戦し、鬼気迫る形相で土俵際まで追い詰めた寺尾の姿は、多くのファンの胸を打ちました。同部屋のため本割で対戦することのなかった逆鉾と寺尾ですが、互いの取組を花道から見守り、勝利に頷き、敗戦に悔しさを滲ませる姿は、言葉以上の兄弟の情愛を物語っていました。