頭上をヘリコプターが長時間旋回している場合、その目的は大きく分けて5つのカテゴリーに集約されます。民間航空機と異なり、同じ空域に留まり続けるヘリコプターは「何らかの地上事象」に連動して飛行しています。
今日現在、上空で旋回が続いている場合に考えられる主な理由は以下の通りです。
① 報道ヘリコプターによる事件・事故・災害の生中継取材
テレビ局や新聞社がチャーターする報道ヘリコプターは、重大事件、交通事故、建物火災、河川の氾濫などが発生した際、現場上空へ即座に急行します。現場の状況をカメラで捉え続けるため、高度400m〜600m前後で現場を中心とした円を描くように旋回し続けるのが特徴です。特に大手キー局(NHK・民放各社)が複数集結すると、上空に3〜5機が同時に滞空し、凄まじい騒音となります。
② 警察ヘリによる犯人追跡・捜索活動・要人警護
各都道府県警察の航空隊(警視庁航空隊など)に所属する警察ヘリは、逃走中の重要指名手配犯や強盗犯の追跡、山岳・河川敷での行方不明者捜索、認知症高齢者の徘徊捜索などで出動します。地上の捜査員やパトカーと無線連携しながら、低空飛行(高度150m〜300m)でサーチライト照射やスピーカー広報を行うケースもあります。また、首相や海外要人の移動に伴う上空警戒(要人警護)では、主要幹線道路や迎賓館・官邸周辺を広範囲に警戒飛行します。
③ 消防防災ヘリ・ドクターヘリによる救助・緊急搬送
総務省消防庁や各自治体の消防防災ヘリコプターは、大規模火災での上空からの消火・延焼状況確認、水難事故やビルの屋上からのホイスト救助活動を行います。また、ドクターヘリは重症患者を迅速に三次救急医療機関へ搬送するため、臨時ヘリポート(学校の校庭や公園、高速道路の本線上など)へ離着陸する前後に周辺空域を低高度で旋回します。
④ 自衛隊ヘリによる飛行訓練・物資輸送・編隊航法
陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊のヘリ(UH-1J、UH-60JA、CH-47Jなど)は、基地・駐屯地周辺や指定された訓練空域を結ぶ飛行ルート沿いで日常的な編隊飛行訓練や夜間暗視ゴーグル(NVG)訓練を実施しています。災害発生時には被災地上空の偵察や物資輸送のため、規則的な往復飛行を行います。
⑤ 民間ヘリによる送電線点検・航空測量・レーザー計測
電力会社の送電線点検や、国土地理院・ゼネコンによる3次元地形データ取得のためのレーザー測量ヘリは、山間部だけでなく都市部の上空を碁盤の目状に一定速度で何度も往復します。一見すると旋回しているように見えますが、正確な直線航路を平行にトレースしているのが特徴です。