SNSや知恵袋などで散見されるポリリン酸歯磨き粉は効果ないという噂の真相を追究すると、使用者が抱く「ホワイトニング」の定義と製品の物理的作用との間に明確なギャップが存在することが判明しました。
最大の要因は、「歯を元の色以上に白くする(漂白)」ことと「蓄積したステインを除去して本来の歯の白さに戻す(除染)」ことの混同です。歯科医院で行うオフィスホワイトニングでは、医療機器・医薬品である過酸化水素を用いてエナメル質内部の色素を化学的に分解・無色化します。しかし、国内の薬機法上、毎日の歯磨き粉に過酸化水素を配合することは禁止されています。
ポリリン酸が担う役割は、あくまで後天的な着色汚れを除去し、エナメル質本来の自然な明るさを取り戻すことです。そのため、以下のようなケースでは「白くならない」「効果を感じない」という結果につながります。
第一に、加齢に伴ってエナメル質が摩耗して薄くなり、内側の黄色味を帯びた象牙質が透けて見えている場合です。第二に、幼少期の抗生物質(テトラサイクリン系)服用による歯の内部の変色や、神経を抜いたことによる黒ずみです。これらは表面の付着汚れではないため、どれほど高濃度のポリリン酸を用いても色調の改善は望めません。
また、ポリリン酸配合の研磨剤不使用歯磨き粉は、歯を削らない安全性を最優先しているため、研磨剤で一気に削り落とすような劇的な即効性は現れません。1回〜数回の使用で劇的な変化を期待したユーザーが「効果がない」と評価を下してしまうケースが後を絶たないのが実情です。