9.11同時多発テロから四半世紀|防げなかった真相と跡地の今を検証

9.11同時多発テロから四半世紀|防げなかった真相と跡地の今を検証

9.11同時多発テロから四半世紀|防げなかった真相と跡地の今を検証を徹底追究! 読者が気になる トピックの裏側を凝縮して配信します。

瓦礫の撤去作業が完了したのち、「グラウンド・ゼロ」と呼ばれた広大な跡地は、深い追悼の祈りと最先端の都市機能が融合する空間へと大規模な再開発を遂げました。現場を訪れると、かつての殺伐とした惨禍の傷跡は、静謐な祈りの場へと姿を変えています。

かつてツインタワーが建っていた正確な位置には、2つの巨大な人工滝「リフレクティング・プール」が配置されています。滝を囲む青銅のプレートには、犠牲者2,977人と1993年の世界貿易センター爆破事件の犠牲者6人、計2,983名の名前が刻まれており、誕生日を迎えた犠牲者の名には、毎朝ボランティアによって白いバラの花が一輪ずつ手向けられます。

跡地周辺では、西半球で最も高い541メートル(アメリカ独立の年にちなむ1,776フィート)を誇るワンワールドトレードセンター(1WTC)が中心に鎮座し、隣接地にはスペインの建築家サンティアゴ・カラトラバ設計による純白の交通結節点「オキュラス」、さらには最新の文化拠点である「ペレルマン・パフォーミング・アーツ・センター」が稼働しています。金融一辺倒だったかつてのエリアは、観光、文化、ビジネスが交錯する複合都市として力強く息づいています。

25年目も続く爪痕|粉塵被害とレスポンダーたちの健康危機

一方で、物理的な復興の陰で今なお深刻な影を落としているのが、救助作業員や地域住民の「遅れて現れた健康被害」です。ビルの崩壊時に飛散したアスベスト、ガラス繊維、鉛、水銀、ダイオキシンなどを含む数十万トンの有害粉塵を吸い込んだ消防士、警察官、ボランティアらの間では、呼吸器疾患や特異ながんの発症が相次ぎました。

米政府の「9/11健康プログラム(World Trade Center Health Program)」への登録者数は12万人を超えており、事件当日の犠牲者数を上回る数の救助隊員や元作業員が、粉塵被害を原因とする関連疾患ですでに命を落としています。25年という時間は都市の景観を美しく塗り替えましたが、現場に関わった人々の肉体と精神には、今なお癒えない傷跡が深く刻まれ続けています。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。