仕上がった衣服に色移りが発生し、店側の再処理でも直らなかった場合、金銭による弁償を求めるフェーズに移行します。ここで絶対に押さえておくべき法的な指針が、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会(全ク連)が制定し、厚生労働省および消費者庁が承認しているクリーニング事故賠償基準です。
店側が「免責事項に記載がある」「クリーニング代金の返金しかできない」などと言い逃れをしてきても、法律上の受託責任や消費者契約法に照らし合わせれば、一方的な免責条項は無効とされるケースがほとんどです。クリーニング色移り弁償請求を行う際、補償額の算出は以下の客観的計算式によって厳密に規定されています。
【賠償額の算出基準式】
賠償額 = 物品の再取得価格(購入時価格) × 商品別・経過月数別補償割合
業界のクリーニングトラブル補償相場では、衣服の耐用年数(平均寿命)が素材やアイテムごとに細かく定められています。例えば、ビジネススーツの平均耐用年数は約3年(36ヶ月)、ワイシャツは1〜2年、高級ダウンジャケットは4〜5年と設定されています。購入から1年未満のスーツであれば購入価格の約60%〜75%、2年経過していれば約30%〜45%が返金補償のベースラインとなります。仮に10万円で購入したコートを1年半でクリーニングに出し、色移りで着用不能にされた場合、店舗側には約4万円から5万円前後の賠償義務が発生します。
ただし、購入時のレシートやクレジットカードの明細を紛失しており購入額が証明できない場合でも、諦める必要はありません。メーカーの型番やオンラインストアの同等品価格をエビデンスとして提示し、「同等品の現行再取得価格」をベースに交渉を進める権利が認められています。