「FF外から失礼するゾ(中東)」というフレーズの構造を解剖すると、日本のSNS空間における文化の衝突が浮き彫りになります。言葉の前半にある「FF外から失礼します」は、フォロー・フォロワーの関係にない見知らぬアカウントへ返信する際、相手への無礼を詫びるために2010年代前半に定着したTwitter特有のローカルマナーでした。
しかし、オープンな対話・発信を前提とするソーシャルメディアにおいて、わざわざ「FF外から失礼します」と断りを入れる行為そのものが、ある種の過剰防衛や形骸化した礼儀として冷ややかな目を向けられる場面も増えていきました。その結果、この挨拶を茶化す目的で、ネット掲示板発祥の語尾「〜するゾ」(いわゆる「真夏の夜の淫夢」に由来する淫夢語録)を接合させた「FF外から失礼するゾ」という改変フレーズが誕生したのです。
そこに輪をかけて意味不明なスパイスとなったのが、末尾に添えられた「(中東)」という補足情報でした。丁寧語の「失礼します」を行儀の悪い語録で崩し、さらにまったく脈絡のない地名を()で括り付け加えることで、徹底的に脱力感と不条理さを演出するTwitter構文のキメラ(複合体)が完成しました。発祥当初は、議論の白熱したスレッドへ唐突に投下して場の緊張感を瓦解させる、一種の「脱力系荒らし」や「ネタ投稿」として重宝された経緯があります。