「強皮症」という名称は、皮膚のみに限局して硬化が生じる「限局性強皮症(モルフィア=局所性強皮症:皮膚科領域で内臓病変を伴わないもの)」と、内臓病変を伴う「全身性強皮症」にまず大別されます。さらに医療現場で生命予後や治療方針を決定づけるのが、全身性強皮症と限局性強皮症の違い、すなわち全身性強皮症の内部における「びまん型」と「限局型」の分類です。
兵庫医科大学病院などの臨床データや日本リウマチ学会のガイドラインによると、皮膚硬化の範囲が肘や膝を越えて体幹(胸や腹)にまで急速に広がるタイプを「びまん皮膚硬化型(dcSSc)」、硬化が肘や膝より先の末梢および顔面にとどまるタイプを「限局皮膚硬化型(lcSSc)」と定義しています。
ここで特筆すべき医学的事実は、強皮症の皮膚硬化の経過における特異な自然史です。びまん型の場合、発症から5〜6年以内に皮膚硬化と内臓病変が急速に進行しますが、このピーク期を過ぎると、不可逆と思われていた皮膚の硬化は徐々に軟化し、自然に薄く柔らかくなっていくという驚くべき臨床経過をたどります。つまり、「発症から最初の数年間」にいかに迅速に進行を食い止めるかが、生涯の機能障害を左右します。
特に注視すべきは強皮症と間質性肺炎の合併症です。肺胞の壁が線維化してガス交換が妨げられる病態であり、初期は無症状であるものの、進行すると空咳や労作時の息切れが出現します。全身性強皮症の死因において現在最も大きな割合を占めているため、胸部CTによる定期的かつ厳密なモニタリングが治療プロトコルの中心に据えられています。