中東遠総合医療センターの設立主体である掛川市袋井市病院企業団は、人口減少や医師不足が深刻化する地方医療において、自治体の垣根を越えた再編統合の先進モデルとして知られています。旧掛川市立総合病院と旧袋井市民病院が統合した最大の動機は、両市単独では維持が困難になりつつあった救急外来と高度専門医療の集約化にありました。
現在、病院の屋上ヘリポートには静岡県内を巡回するドクターヘリや防災ヘリが頻繁に離発着しています。広大な中東遠医療圏(掛川・袋井・森町・御前崎・菊川)において、心筋梗塞、脳卒中、重度外傷などの一刻を争う超急性期症例を24時間体制で受け入れる現場のプレッシャーは計り知れません。
しかし、救急医療の現場では日常的に「トリアージ」が実施されています。トリアージとは、来院順ではなく病状の緊急度・重症度に応じて診察の優先順位を決定する医療システムです。「夜間に救急外来を受診したが、後から来た患者が先に診察室へ入っていった」という不満の声が寄せられることがありますが、これは医療スタッフがバイタルサインや意識レベルを瞬時に判断し、心停止や呼吸不全のリスクがある患者を優先している結果です。地域の救急搬送を一手に引き受ける最後の砦だからこそ、受診側にも制度への正しい理解が求められます。