「パッと見はどちらも同じ黒無地」に見えるビジネススーツと喪服ですが、並んだ瞬間に違いが露呈する最大の要因は染色の深さ(漆黒度)と光沢感にあります。
ビジネス用のブラックスーツは、毎日の着用や摩擦に耐える耐久性や、スタイリッシュに見せるための適度な艶(ツヤ)を持たせて仕立てられています。光を反射する加工が施されているため、太陽光や式場のLED照明の下では「白っぽくグレーがかった黒」に見えてしまいます。
一方、喪服(ブラックフォーマル)は光を吸収する特殊な濃染加工が施されており、深みのある完全な「漆黒」に染め上げられています。さらに、哀悼の意を表す場において華美な艶はタブーとされるため、徹底して光沢を抑えたマットな質感に仕上げられているのが特徴です。
喪服を着用した参列者が大半を占める葬儀会場に入ると、黒スーツのテカリや浅い色合いは浮き彫りになり、周囲からは「あの方は普段の仕事着で来られたのだな」と即座に伝わってしまいます。黒スーツ代用の可否で言えば、告別式などの本葬において代用は避けるべきというのがフォーマルの鉄則です。