広尾エリアの飲食店事情において、長年課題とされてきたのが「手軽に立ち寄れる深夜メシの選択肢の少なさ」でした。多くの名店が22時前後にはラストオーダーを迎えるなか、午前4時前後まで安定して明かりを灯し続ける油そば店の存在は、街のインフラとして機能しています。
実際に深夜1時を過ぎた時間帯に現場を観察すると、六本木や西麻布方面から流れてきたタクシーが店前に停車し、近隣のクリエイティブオフィスで働くディレクターや、周辺総合病院の医療スタッフとおぼしき人々が次々と暖簾をくぐっていきます。
「広尾近辺は夜中にサクッと1人で入れる店が本当に限られている。油そばなら注文から5分程度で提供され、ニンニクの量を自分で調整できるから、翌朝の打ち合わせ前でも使い勝手がいい」(30代・IT企業役員)
「ランチタイムは女性客が半分近くを占めていて驚く。紙エプロンが完備されていて服に油が飛ばない配慮があるのも、広尾という場所柄にマッチしている」(20代・アパレル勤務)
SNS上でも、「恵比寿まで歩かずに駅前で完結するのが最高」「酢をたっぷりかけると罪悪感が消える」といった声が目立ちます。短時間で高い満足度を得られるタイムパフォーマンス(タイパ)の高さも、多忙なビジネスパーソンを引きつける要因となっています。