姿が美しく鳴き声も風雅なソウシチョウが、なぜ環境省によって特定外来生物に指定され、さらには日本の侵略的外来種ワースト100に選定される事態に至ったのでしょうか。その決定的な特定外来生物に指定された理由は、日本の固有生態系に対する「ニッチ(生態的地位)の強奪」と「在来種の駆逐」にあります。
ソウシチョウは中国南部からヒマラヤ原産の鳥で、昭和後期から平成初期(1980年代)にかけて愛玩鳥として大量に輸入されました。しかし、かご抜け(飼育個体の脱走)や、世話をしきれなくなった飼育者による違法放鳥が相次ぎ、日本の気候に適応して野生化。特に日本の冷温帯・暖温帯の森林に広がる「スズタケ」「ミヤコザサ」などのササ藪は、彼らにとって天敵から身を隠し、繁殖するのに完璧な楽園となってしまったのです。
環境省や日本野鳥の会の調査報告によると、ササ藪を主な営巣場所とする在来種のウグイス、コマドリ、コルリ、ジュウイチといった野鳥たちが、ソウシチョウの高密度な定着によって営巣場所や餌となる昆虫・果実を奪われ、個体数を急減させている現場が各地で確認されています。単に「外来種だから」排除されるのではなく、生態系への甚大な影響が科学的データによって裏付けられた結果の法的指定なのです。