静岡県が直面する津波の危険性は、過去の歴史的事実によって裏付けられています。1854年に発生した安政東海地震における津波被害の経緯を紐解くと、伊豆半島から遠州灘に至る広範囲が壊滅的な大津波に襲われました。当時の下田港では、日露和親条約交渉のため停泊中だったロシア軍艦「ディアナ号」が度重なる大津波によって大破・沈没し、港町そのものが一瞬にして流失した記録が残されています。
こうした歴史的教訓と最新の地球科学的知見を融合し、策定されたのが静岡県第4次地震被害想定です。この想定では、発生頻度は低いものの発生すれば甚大な被害をもたらす「最大クラス(L2)」と、数十年から百数十年の周期で発生する「発生頻度の高い津波(L1)」の2段階でリスクが細分化されました。
静岡津波の2026年最新被害想定においても、従来の防潮堤だけでは防ぎきれないL2津波を前提とした「多重防御」と「迅速な避難体制」の重要性が改めて強調されています。ハード面の整備を進めつつも、最終的に命を守るのは避難というソフトの行動力であることが、過去の被災史から導き出された不変の結論です。