神野三鈴のキャリアを語る上で欠かせないのが、20代から30代にかけて心血を注いだ舞台演劇の世界です。テレビのバラエティやトレンディドラマ全盛期だった1990年代、彼女は敢えて大衆的なテレビ露出を追わず、自らの肉体と声だけで勝負する劇場の舞台に立ち続けました。
伝説的な劇作家・つかこうへいの舞台をはじめ、三谷幸喜や栗山民也、井上ひさしといった日本を代表するトップクリエイターたちの作品に次々と起用されます。特にこまつ座公演『組曲虐殺』などの演技では、観客の感情を激しく揺さぶる圧倒的な表現力を見せつけました。
その実力は演劇界で高く評価され、第47回紀伊國屋演劇賞個人賞や、第20回読売演劇大賞優秀女優賞など、日本の演劇界における栄誉ある賞を立て続けに受賞。演劇ファンの間では「神野三鈴が出演する舞台に外れなし」と言われるほどの不動の地位を確立しました。
その後、40代半ばを迎えた2010年代以降、満を持してテレビドラマや映画への出演を本格化させます。『Dr.コトー診療所』へのゲスト出演を皮切りに、TBS日曜劇場『ブラックペアン』『下町ロケット』、NHK連続テレビ小説などの大ヒット作で重要なキーパーソンを好演。映画『日本のいちばん長い日』や『blank13』、国際的評価を受けた『PERFECT DAYS』に至るまで、日本を代表する名バイプレイヤーへと駆け上がりました。