かつて迷宮入り寸前とされたコールドケースの扉を押し開いているのが、科学捜査研究所(科捜研)による科学捜査の飛躍的な進歩だ。1980年代や90年代には技術的に特定不可能だった微量な付着物からも、今や極めて高精度なDNAプロファイルを抽出できるようになった。
衣類の繊維に残されたわずか数個の表皮細胞、いわゆる「タッチDNA」から個人の遺伝情報を復元する技術は、長年の沈黙を破る決定打となっている。未解決事件の再鑑定が進むことで、時効の壁を越えて真実が暴かれる事例が相次ぐ。科学の眼は、時間の経過によって風化しかけた証拠に再び命を吹き込み、逃走を続ける犯人を追いつめている。