勝負の世界である以上、PK戦には必ず勝者と敗者が生まれます。高校サッカーの歴史には、息が詰まるほどのサドンデスが続き、スタジアム全体が異様な静寂に包まれた「伝説のPK戦」が刻まれています。 全国高校サッカー選手権大会の都道府県予選や全国大会の舞台において、歴代最長記録として語り継がれる一戦があります。第89回全国高校サッカー選手権の1回戦、中津東(大分)対ルーテル学院(熊本)の九州勢対決では、正規の5人を終えても決着がつかず、両チーム合わせて22人(11人全員が蹴り終えて2巡目に突入)に及ぶ壮絶な死闘が繰り広げられました。 キーパーを含めた全員がキッカーを務め、ピッチ中央で肩を組みながら祈り続ける選手たち。最後は枠を外れたボールを見届けた瞬間、両チームの選手が一斉にピッチへ崩れ落ちました。勝った側のルーテル学院の選手たちも、大歓声をあげるより先に、涙を流して立ち上がれない相手選手のもとへ駆け寄り抱き起こす姿がテレビ中継で映し出され、全国のファンに深い感銘を与えました。 「ボールをセットしたとき、ゴールが信じられないくらい小さく見えた。外した瞬間は目の前が真っ暗になって、自分のせいで先輩たちの冬が終わってしまったと絶望した。でも、泣きながら戻った自分を、キャプテンが真っ先に抱きしめて『お前のせいじゃない、ここまで連れてきてくれてありがとう』と言ってくれた。あの言葉があったから、自分は大学でもサッカーを続けることができた」 (当時の出場選手が後年の特別インタビューで語った回顧録より) 高校サッカーにおけるPK戦の残酷さは、プロのように「次のシーズン」で挽回することが許されない「一発勝負の3年間の終わり」である点にあります。だからこそ、そこで生まれる敗者への敬意やチームメイトの絆は、多くの人々の涙を誘うのです。
高校サッカーPk戦になぜ延長がないのか?過酷なルールの真相と最長記録
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