天端の重要性が一般に認知されにくい背景には、インターネット掲示板やSNS上で散見されるいくつかの誤った認識があります。代表的な2つの盲点を検証します。
もっとも危険な誤解が、「基礎天端に多少の凸凹や傾きがあっても、土台パッキンやスペーサー(調整板)を挟めば後からいくらでも調整できる」という言説です。確かに数ミリの局所的な不陸であれば樹脂スペーサーで土台の高さを水平に保つことは物理的に可能です。しかし、スペーサーを多用すると基礎コンクリートと土台の接触面積が点支持に近くなり、地震時に建物から基礎へ伝わる応力が局所に集中します。日本建築学会の標準仕様書でも無制限なパッキン調整は戒められており、基礎天端そのものが所定の平坦度を満たしていなければ瑕疵(かし)担保責任の対象となり得ます。
もうひとつの誤認は、「天端とは屋根の頂上(屋根天端)のことである」という混同です。建物の最上部を指して天端と呼ぶケースを一般の方の投稿で見かけますが、木造建築において屋根の頂部は「棟(むね)」あるいは「棟木(むなぎ)」と呼ぶのが建築用語としての正規の区分です。天端はあくまで「コンクリートやブロック、梁などの構造部材の上面」を指す言葉であり、屋根そのものを天端と呼ぶことは専門実務上ありません。