権力者の悲劇は、民主化以降の現代政治においても止まることを知らない。親子二代で大統領となった朴槿恵は、側近による国政介入疑惑から激しい糾弾を受け、現職大統領として初の弾劾訴追・罷免という不名誉な末路を辿った。その後に収監され、長期間の服役を強いられた事実は記憶に新しい。また、清廉さを掲げて政権を担った文在寅も例外ではない。退任後、大韓民国検察庁による親族や元側近への大規模な捜査網が広がり、与野党間の報復政治の嵐に晒され続けている。
初代の李承晩から朴正煕、全斗煥、朴槿恵、そして文在寅へと続く逮捕・暗殺・亡命の歴史。なぜ彼らは悲惨な末路を避けられないのか。最大の要因は、韓国の政治制度が抱える「強大すぎる大統領権限」と「5年単任制」の歪みにある。再選がないため、任期後半になると急速に求心力を失う「レームダック現象」が発生する。そして政権交代が起きると、新政権は旧政権の不正を暴くことで自らの正当性を誇示しようとする。権力の集中と短い任期、そして前政権への清算要求が組み合わさることで、終わりなき報復のループが完成してしまうのだ。